雨に濡れる菊をみて 思い出した こどものころの帰り道 畑道
ずーっと長いこと思い出していない、本当は覚えていることって一体どのくらいあるんだろ
そんなこと思いながら雨の吉祥寺をぐるぐると歩いた
イヤフォンを外して
きおくの旅
ひとつひとつを丁寧に手繰り寄せていくと
驚くほどの、長いこと思い出していなかった、本当は覚えていることたちに出会った
思い出は真実だ
確かに在った紛れもない愛しいいのちの真実だ
きおくをたどってたどって、たどり着いた場所は不思議なことに昔の事ではなく、
今年の七月の、おばあちゃんの七夕のお願いごとだった
どこかに出掛けてみたい
笹の、人目に映らないような目立たないところに吊るしてあったその願いを
叶えることが出来るならどんなにいいだろう
おばあちゃんもこんなふうにいろんな思い出に出会うかもしれない
部屋の中では出会えない、本当は覚えていることに出会えるかもしれない
思い出は真実だ
確かに在った紛れもない愛しいいのちの真実だ
そうしてたどり着くわたしの願い
おばあちゃんを連れ出したい
だめって言われるなら散歩でもいいから
おばあちゃんを乗せて 一緒に外の道を歩きたい
お母さん、みてるよね
三人で 行こう◎ 天気のいい日に
それで、新しい、いまの思い出を つくろう