いえに帰ると
リビングのテーブルに書き置きがあって
チラシの裏に書かれたそれは
おばあちゃんが おかあさんに宛てたものだった。
おばあちゃんと おかあさんは あんまり仲がよくない
毎日のように、文句を言いあったり、けんかもするし
おたがい きらいあっているように見えるけれど
おかあさんが1番おばあちゃんの体を気遣かってることも
おばあちゃんが1番甘えられるのはおかあさんだってことも
わたしはしっている
手紙にはこうかいてあった。
5月21日 真理子さん(母のこと)へ ひとこと
おたんじょうびお目出度うございます。
夕飯は全部おいしかったよ。
登代子より
きたなくていとしい字が
三日も早くおかあさんを祝っていた。
おばあちゃん、照れながらこれ置いたんだろうなあ
おかあさん あしたの朝、うれしいんだろうなあ
たまらない気持ちになって、泣いた。
わたしはふたりのことがだいすきだ
不器用なふたりのことがだいすきだ
こんなことで泣いちゃうくらいだいすきだ
明日は5月21日
そうゆうことに しておこう
世界は今 やさしいレモン色。